メンバーオーディション最終発表
- 2022/05/23
- 18:54
先週の月曜日に、一次合格者60人が選ばれた定演3部・コンクールのオーディション。
23日月曜日、ついに、最終的に脱落する5人が決まり、
コンクールと定演3部に乗る55人が決定する。
土曜日までの合奏で、ホルンパートは一切、
顧問の矢田部先生の合奏中、
矢田部先生からも、
副顧問の月島先生からも、
トレーナーの西崎先生からも、
何の指摘も受けることはなかった。
捕まっていたのは、ほぼ木管、そして低音ばかりだった。
トランペット、トロンボーン、打楽器、そして我らがホルンも、誰一人、
パートで吹かされたり、一人で吹かされたりがないままだった。
…ホルンは俺を含めて、高校でホルンを初めて持つメンバーが2人いるのに…。
「パートのアピール力が必要なのかもしれない」
日曜日に自主的に練習していた一年生3人の間で、そんな意見が出た。
…今日の朝練開始10分前。
校門の前に並んでいたのは、
金管の大半の部員と、木管の一部の部員、
そして、打楽器の一年生だった。
木管の中には、一次を通るときに
テナーかバリトンかどちらかを選べと言われた、
おーちゃんこと、水越桜太の姿もあった。
「絶対受かるってオーラ、ずっと出してるもんな、頑張れよ。」
「お互いにな。
…俺も一応…プライドあるから。
それに、マミ先輩が落ちて俺が受かるってパターンだけとも限らない。
今年の編成なら、テナー2本になることもあり得るし。」
マミ先輩は、割と思い詰めた顔はしていなかった。
楽器を組み立てても、淡々といつも通りの練習に入り始めていた。
「あの、なつき先輩」
「あ、一年生も気合い入ってるねー」
「俺ら、土曜日まで全然当てられてないじゃないですか。」
「そうだね。まあ、今日発表前にとことんつつかれるかもね。」
「俺とゆきは、土曜日まで吹けない場所は全く吹けないし、今日それがクリアできるかと言われると、時間が足りなかったんです。
今日つつかれるなら…パートの熱量みたいなのアピールしたがいいってれんが言って…」
一年ホルン3人はみんな真剣だ。
「なるほどね。…アピールできるところ…
くじゃくの最後に、金管の音が重なっていくところあるでしょ?あと、飛ぶところの前。あそこ吹ける?」
…そこもあったか。たしかにあそこはホルンの音目立つ。
「音程怪しいし、高い音苦しいですけど…」
「一回やってみようよ。2年生ー、パートであわせよ!」
「はい!」
フィナーレの、くじゃくが飛ぶシーンの前のクライマックス。
なつき先輩、今日は絶好調だな…
「サード、音うわずらないで。一年生の方が音程取れてるよ」
「はい!」
この部分で意外と、2年生のおかよー先輩が苦戦していた。
「じゃあ次、ここからラストまで。」
あー、ここ、本当に音程取れないし、
何より音量が増していくから苦しい…
「クレッシェンド!一年生、もっと自分達がかっこいいと思って!もう一回!」
「ゆき、りゅー、次で決めるぞ。あんまり時間がない。
特にりゅー、お前は自分が上手いって思ったら強いから。」
…俺は上手いんだ。
高校から楽器始めたと思えないって言われたんだ。
嘘でもハッタリでもいいから、上手く吹く!
…。
「今日ここ当てられたら、もっとね!…で、多分一年生がやりたいの、タイグレスの最後のソリでしょ?」
…なつき先輩さすが…見抜いてる…。
「です!」
「多分ね、そこだけ聴かれないと思う。ソリの後伸ばしがあって、それから…」
「最後が指がむずかしいんですよね。シドレドシドレド…ド♯があるから…」
えっ、この楽譜黒いところ…?
「まあ、まずはソリからやってみようよ。最後までノンストップで。」
昨日、いっぱい練習した。
でも、最後の16分音符まで聴かれるかもしれないってのは想定してなかった。
「れん、ここ、指…俺…番号ふってるけど回らない…」
「えっと…りゅー、お前ここB管押しっぱなしの指で書いてんの?
ここはB管押さないで、…これで吹いてみ?難しいけどこっちのほうが2.12.1.12だから、指がこんがらがらない。…うん、ここから親指離して。そうそう。」
…あ、こっちの方が楽だ。
「メモする時間ください。…はい、大丈夫です。」
そして、6人でホルンでソリを吹くところから最後まで吹いた。
俺らホルンパート6人は、一心同体だ。
そんな気持ちを込めて、
俺らが一番上手いって気持ちで必死に、
それでいてかっこよく…とにかく聴かせようと吹いた。
「今日の合奏でホルンがパートごと捕まったら、最低今の音で吹いてね!いい?」
「はい!」
あっという間に8:20になった。
そこから、放課後まではなんか緊張した気持ちで学校生活がすぎていった。
微妙に授業も身が入らない。
放課後になった。
音出しを済ませたら、即合奏。
30分経った。くじゃく。今日も木管ばかり。
そして、鍵盤打楽器も今日は捕まっている。
「じゃあ…練習番号のここからラストまで。全員で。」
これでくじゃくは終わり?かと思った。
「ゲネラルパウゼの後の金管のトゥッティ、金管だけでください。」
西崎先生が横からマイクでコメントしてきた。
…きた!
これで金管の力、まとめて聴かれるってことか…
なつき先輩が目配せしてきた。
まとめて聴かれるなら尚更だ。
苦しいけど絶対かっこいいやつを…
今出せる精一杯を吹いた。
音程も…多分最低限合ってると思う。
10分の休憩を挟んで、ザ・タイグレスの合奏になった。
今度は、トランペットとトロンボーンが徹底して捕まるようになった。
この流れは…
横に座っていたサード担当のりゅーが、俺の譜面にボールペンで何か書き込んだ。
「これ、今朝やった場所多分当てられるぞ」
俺は黙って頷いた。
そして…
「ホルン、ソリから最後までください。」
矢田部先生から。
きた!
よし、
絶対今までで一番かっこいいやつ吹く!
指が難しいところを…
俺はこの部分、横目で見て音を感じる余裕すら出来ていた。
あとは、変拍子で飛び出さない、からの…
ちょっと指は怪しいけど最後まで吹けた。
これで一人ずつ当てられたら…
「西崎先生どうですか?」
「もう大丈夫です。その、ラスト手前のトランペットソロから、最後まで、トランペットください。」
…!!!
多分時間的に次のトランペットが最後だ。
…個人で当てられたらラストが心配だった。
ソロの後の、ホルンが難しい場所は、
トランペットパートも難しいみたいで、
俺ら以上に苦戦していた。
「それでは、二次オーディション合奏を終わります。
日曜日の段階である程度絞っていましたが、
今日で方向性がはっきりしたので、
数分後には、最終メンバーを発表します。」
…ある程度絞られていてからの、今日が最後の決め手…
待つ間の5分間、
音楽室は沈黙に包まれた。
そして、矢田部先生、月島先生、西崎先生が戻ってきた。
本当に5分。その間が長かった。
「それでは、今から、
定期演奏会3部、並びにコンクールに出演する、
55人の最終発表をします。
今から呼ばれた人は、立たないで構いません。
その場で返事をしなさい。
…クラリネット、一年、下浦凛々香。」
「…はい。」
…この呼ばれ方は…もしかして…
「テナーサックス、一年、水越桜太。」
「はい。」
「ユーフォニアム、二年、坂口絢香。」
「はい。」
「トロンボーン、一年、豊福瑠奈。」
「はい。」
「打楽器、一年、大越未夕。」
「…!…はい!」
…これは…。
「以上5人は、今回、3部とコンクールから外れてもらうことになりました。
最終的に、もちろん適応力も何より尊重しましたが、
追求できていたか、アピールしたか、成長した何かを見せられたか、
そこの本当に僅かな差ですが、決め手にさせてもらいました。
本当は66人今年は誰一人落としたくないくらいレベルが高かったけど、
一次で落ちた6人を含めた11人には、選ばれた55人よりもある意味大事な役目を担ってもらいます。
これで落ち込まないように、そして来年こそ選ばれるように、頑張ってください。」
おーちゃんが顔を伏せて泣いている。
男子部員で、唯一オーディションに落ちてしまった。
あんなに頑張っていた、アピールや適応力だってあったと思う。
…それより、もちろん目標を達成できて、
ホルンは全員残れたんだけど、
俺が残ったことがおーちゃんに申し訳ないって気持ちも大きかった。
りりかは、案外あっさりしていた。
ユーフォのあやか先輩も。
同じクラスのトロンボーンのるなは、目に涙を浮かべていた。
強豪高露園中から来たみゆうは、呆然として受け止められないって様子だった。
俺は思い切っておーちゃんに声をかけた。
「ごめんな。俺が受かって。
…おーちゃんの方がメンバーになるべきだと思ったのに。」
「…悔しいけど、多分りゅーが思ってるほどは俺、落ち込んでないよ。
…もう、次の目標あるし。」
「次の目標…?」
「アンコンでスターになる。かけるもいるし、今年の部内アンコンではサックス、絶対どのチームにも負けないから。
俺、夏も本気だけど、アンサンブルで注目されたくてってので丸高選んだのもあるから。
今日までは悔しがるけど、明日から生まれ変わる。
ホルン、かっこよかったよ。
全員受かって当然だと思う。パートの音が違うもん。
でも、10月は絶対負けないからな。」
そういうと、おーちゃんはまだ涙に濡れた目ながらも、笑顔を浮かべた。
そして、楽器を始めて一月足らずの俺が、
コンクールのステージに立つという実感が、
それでひしひしと湧いてきた。
これはこの夏…
定期演奏会も、コンクールも、
落ちた奴の分まで
死ぬ気でやらないといけない。
「よーし!ホルンやったね!約束通り祝勝会行こうか!」
「そうですね!」
「祝勝会というか、こっからさらに頑張るって決意の会にしましょう!
丸高ホルンは、無敵になんないといけないです!」
「よし!ファミレス行くか!」
多分、ブレイキンの練習も再開して、
勉強もして、
楽器も必死にやって、
とんでもない時期になると思うけど、
「どこにも誰にも負けなくない」
そんな気持ちが一層強まった、1日になった。
23日月曜日、ついに、最終的に脱落する5人が決まり、
コンクールと定演3部に乗る55人が決定する。
土曜日までの合奏で、ホルンパートは一切、
顧問の矢田部先生の合奏中、
矢田部先生からも、
副顧問の月島先生からも、
トレーナーの西崎先生からも、
何の指摘も受けることはなかった。
捕まっていたのは、ほぼ木管、そして低音ばかりだった。
トランペット、トロンボーン、打楽器、そして我らがホルンも、誰一人、
パートで吹かされたり、一人で吹かされたりがないままだった。
…ホルンは俺を含めて、高校でホルンを初めて持つメンバーが2人いるのに…。
「パートのアピール力が必要なのかもしれない」
日曜日に自主的に練習していた一年生3人の間で、そんな意見が出た。
…今日の朝練開始10分前。
校門の前に並んでいたのは、
金管の大半の部員と、木管の一部の部員、
そして、打楽器の一年生だった。
木管の中には、一次を通るときに
テナーかバリトンかどちらかを選べと言われた、
おーちゃんこと、水越桜太の姿もあった。
「絶対受かるってオーラ、ずっと出してるもんな、頑張れよ。」
「お互いにな。
…俺も一応…プライドあるから。
それに、マミ先輩が落ちて俺が受かるってパターンだけとも限らない。
今年の編成なら、テナー2本になることもあり得るし。」
マミ先輩は、割と思い詰めた顔はしていなかった。
楽器を組み立てても、淡々といつも通りの練習に入り始めていた。
「あの、なつき先輩」
「あ、一年生も気合い入ってるねー」
「俺ら、土曜日まで全然当てられてないじゃないですか。」
「そうだね。まあ、今日発表前にとことんつつかれるかもね。」
「俺とゆきは、土曜日まで吹けない場所は全く吹けないし、今日それがクリアできるかと言われると、時間が足りなかったんです。
今日つつかれるなら…パートの熱量みたいなのアピールしたがいいってれんが言って…」
一年ホルン3人はみんな真剣だ。
「なるほどね。…アピールできるところ…
くじゃくの最後に、金管の音が重なっていくところあるでしょ?あと、飛ぶところの前。あそこ吹ける?」
…そこもあったか。たしかにあそこはホルンの音目立つ。
「音程怪しいし、高い音苦しいですけど…」
「一回やってみようよ。2年生ー、パートであわせよ!」
「はい!」
フィナーレの、くじゃくが飛ぶシーンの前のクライマックス。
なつき先輩、今日は絶好調だな…
「サード、音うわずらないで。一年生の方が音程取れてるよ」
「はい!」
この部分で意外と、2年生のおかよー先輩が苦戦していた。
「じゃあ次、ここからラストまで。」
あー、ここ、本当に音程取れないし、
何より音量が増していくから苦しい…
「クレッシェンド!一年生、もっと自分達がかっこいいと思って!もう一回!」
「ゆき、りゅー、次で決めるぞ。あんまり時間がない。
特にりゅー、お前は自分が上手いって思ったら強いから。」
…俺は上手いんだ。
高校から楽器始めたと思えないって言われたんだ。
嘘でもハッタリでもいいから、上手く吹く!
…。
「今日ここ当てられたら、もっとね!…で、多分一年生がやりたいの、タイグレスの最後のソリでしょ?」
…なつき先輩さすが…見抜いてる…。
「です!」
「多分ね、そこだけ聴かれないと思う。ソリの後伸ばしがあって、それから…」
「最後が指がむずかしいんですよね。シドレドシドレド…ド♯があるから…」
えっ、この楽譜黒いところ…?
「まあ、まずはソリからやってみようよ。最後までノンストップで。」
昨日、いっぱい練習した。
でも、最後の16分音符まで聴かれるかもしれないってのは想定してなかった。
「れん、ここ、指…俺…番号ふってるけど回らない…」
「えっと…りゅー、お前ここB管押しっぱなしの指で書いてんの?
ここはB管押さないで、…これで吹いてみ?難しいけどこっちのほうが2.12.1.12だから、指がこんがらがらない。…うん、ここから親指離して。そうそう。」
…あ、こっちの方が楽だ。
「メモする時間ください。…はい、大丈夫です。」
そして、6人でホルンでソリを吹くところから最後まで吹いた。
俺らホルンパート6人は、一心同体だ。
そんな気持ちを込めて、
俺らが一番上手いって気持ちで必死に、
それでいてかっこよく…とにかく聴かせようと吹いた。
「今日の合奏でホルンがパートごと捕まったら、最低今の音で吹いてね!いい?」
「はい!」
あっという間に8:20になった。
そこから、放課後まではなんか緊張した気持ちで学校生活がすぎていった。
微妙に授業も身が入らない。
放課後になった。
音出しを済ませたら、即合奏。
30分経った。くじゃく。今日も木管ばかり。
そして、鍵盤打楽器も今日は捕まっている。
「じゃあ…練習番号のここからラストまで。全員で。」
これでくじゃくは終わり?かと思った。
「ゲネラルパウゼの後の金管のトゥッティ、金管だけでください。」
西崎先生が横からマイクでコメントしてきた。
…きた!
これで金管の力、まとめて聴かれるってことか…
なつき先輩が目配せしてきた。
まとめて聴かれるなら尚更だ。
苦しいけど絶対かっこいいやつを…
今出せる精一杯を吹いた。
音程も…多分最低限合ってると思う。
10分の休憩を挟んで、ザ・タイグレスの合奏になった。
今度は、トランペットとトロンボーンが徹底して捕まるようになった。
この流れは…
横に座っていたサード担当のりゅーが、俺の譜面にボールペンで何か書き込んだ。
「これ、今朝やった場所多分当てられるぞ」
俺は黙って頷いた。
そして…
「ホルン、ソリから最後までください。」
矢田部先生から。
きた!
よし、
絶対今までで一番かっこいいやつ吹く!
指が難しいところを…
俺はこの部分、横目で見て音を感じる余裕すら出来ていた。
あとは、変拍子で飛び出さない、からの…
ちょっと指は怪しいけど最後まで吹けた。
これで一人ずつ当てられたら…
「西崎先生どうですか?」
「もう大丈夫です。その、ラスト手前のトランペットソロから、最後まで、トランペットください。」
…!!!
多分時間的に次のトランペットが最後だ。
…個人で当てられたらラストが心配だった。
ソロの後の、ホルンが難しい場所は、
トランペットパートも難しいみたいで、
俺ら以上に苦戦していた。
「それでは、二次オーディション合奏を終わります。
日曜日の段階である程度絞っていましたが、
今日で方向性がはっきりしたので、
数分後には、最終メンバーを発表します。」
…ある程度絞られていてからの、今日が最後の決め手…
待つ間の5分間、
音楽室は沈黙に包まれた。
そして、矢田部先生、月島先生、西崎先生が戻ってきた。
本当に5分。その間が長かった。
「それでは、今から、
定期演奏会3部、並びにコンクールに出演する、
55人の最終発表をします。
今から呼ばれた人は、立たないで構いません。
その場で返事をしなさい。
…クラリネット、一年、下浦凛々香。」
「…はい。」
…この呼ばれ方は…もしかして…
「テナーサックス、一年、水越桜太。」
「はい。」
「ユーフォニアム、二年、坂口絢香。」
「はい。」
「トロンボーン、一年、豊福瑠奈。」
「はい。」
「打楽器、一年、大越未夕。」
「…!…はい!」
…これは…。
「以上5人は、今回、3部とコンクールから外れてもらうことになりました。
最終的に、もちろん適応力も何より尊重しましたが、
追求できていたか、アピールしたか、成長した何かを見せられたか、
そこの本当に僅かな差ですが、決め手にさせてもらいました。
本当は66人今年は誰一人落としたくないくらいレベルが高かったけど、
一次で落ちた6人を含めた11人には、選ばれた55人よりもある意味大事な役目を担ってもらいます。
これで落ち込まないように、そして来年こそ選ばれるように、頑張ってください。」
おーちゃんが顔を伏せて泣いている。
男子部員で、唯一オーディションに落ちてしまった。
あんなに頑張っていた、アピールや適応力だってあったと思う。
…それより、もちろん目標を達成できて、
ホルンは全員残れたんだけど、
俺が残ったことがおーちゃんに申し訳ないって気持ちも大きかった。
りりかは、案外あっさりしていた。
ユーフォのあやか先輩も。
同じクラスのトロンボーンのるなは、目に涙を浮かべていた。
強豪高露園中から来たみゆうは、呆然として受け止められないって様子だった。
俺は思い切っておーちゃんに声をかけた。
「ごめんな。俺が受かって。
…おーちゃんの方がメンバーになるべきだと思ったのに。」
「…悔しいけど、多分りゅーが思ってるほどは俺、落ち込んでないよ。
…もう、次の目標あるし。」
「次の目標…?」
「アンコンでスターになる。かけるもいるし、今年の部内アンコンではサックス、絶対どのチームにも負けないから。
俺、夏も本気だけど、アンサンブルで注目されたくてってので丸高選んだのもあるから。
今日までは悔しがるけど、明日から生まれ変わる。
ホルン、かっこよかったよ。
全員受かって当然だと思う。パートの音が違うもん。
でも、10月は絶対負けないからな。」
そういうと、おーちゃんはまだ涙に濡れた目ながらも、笑顔を浮かべた。
そして、楽器を始めて一月足らずの俺が、
コンクールのステージに立つという実感が、
それでひしひしと湧いてきた。
これはこの夏…
定期演奏会も、コンクールも、
落ちた奴の分まで
死ぬ気でやらないといけない。
「よーし!ホルンやったね!約束通り祝勝会行こうか!」
「そうですね!」
「祝勝会というか、こっからさらに頑張るって決意の会にしましょう!
丸高ホルンは、無敵になんないといけないです!」
「よし!ファミレス行くか!」
多分、ブレイキンの練習も再開して、
勉強もして、
楽器も必死にやって、
とんでもない時期になると思うけど、
「どこにも誰にも負けなくない」
そんな気持ちが一層強まった、1日になった。
スポンサーサイト
- テーマ:吹奏楽
- ジャンル:音楽
- カテゴリ:丸高思い出話